大島弓子のマンガに、第2次大戦中に徴兵から逃れるために女装の姿で片田舎でひっそりと暮らす青年の話があったのを憶えています。もしまた朝鮮半島とかで戦争がおこったら、あたしもそうするだろうと本気で思うことがあります。
あたしはもう徴兵にとられるような年齢ではありませんし、若かったとしても合格するような体力はありません。けれど、あたしがふだん男装で生活することを選んだのは、家族や親戚やこれまで縁のあった人たちとの関係を大切に思ったから決めたことなのです。もしそういった人たち全員が戦争バンザイみたいなことを言い出したら、あたしが男装を選んだ意味はなくなります。そのときあたしは初めて自分自身のためだけに女性装だけの生活を選ぶことになるだろうと思うんです。
つづき→大島弓子『七月七日に…』