地球上の動物で一番お尻が大きいのは人間
百科事典を調べてみると、人と猿以外の動物では、お尻と呼べる部分がどこまでなのか、はっきりしないようです。猿には形はちょっと偏平ですがお尻があり、赤い色をしています。
地球の動物で一番お尻が大きいのは人間であると書いてありました。
ギリシャのアリストテレスという人は、人にだけお尻があるといったそうです。人だけが特別に発達した大きなお尻をもっているという意味なのでしょう。
お尻の発達 
それは、二本足で直立歩行することと関係あるらしいのです。人のお尻のふくらみには大臀筋という筋肉があって、この筋肉のおかげで人は二本足で立てるようになったということです。人にとってたいへん大事な筋肉ですから、厚い皮下脂肪でしっかり覆われて守られているのでしょう。人は二本足で歩くため、下半身が豊かに発達してきた動物なんだそうです。
お尻が大きいと、ふとももも太くなります。人以外でふとももの良く発達した動物は鳥です。鳥も地上を歩くときは二本足ですし、水を泳ぐときも二本足で進みますから、立派なふとももを持つようになったのでしょう。
人のうちでも、女性のほうが、お尻やふとももは発達しています。子どもを生むために骨盤が大きくなったと一般には説明されますが、では他の哺乳動物でもメスは骨盤が大きいのかというと、はっきりしないようです。猿のお尻は、発情期に異性をひきつけるためにあるともいいますので、人間のお尻にも同様の役割があるのかもしれません。場合によっては、ひきつける相手は異性だけでもないようです。
人は眠るとき以外に常に二本足で立ち続けているわけではありません。腰をおろして座ります。座るためには、柔らかいお尻が必要です。猿も座るような姿勢をとることが多い動物です。大きいお尻は、座るという姿勢と関係の深いものにも思えます。外へ狩りに出かけた男性にくらべて、女性のほうが座る姿勢でいることが長かったのかもしれません。
男性も机の前に座ってばかりの生活ですと、お尻が大きくなってゆくかもしれません。でも、背もたれのある椅子では腰はきたえられないかもしれませんし、二本足で歩くという人間のお尻の発達の基本を忘れては、腰痛の原因になるばかりです。
乳房とお尻 
人の乳房は猿のお尻のコピーだと、妙なことをいった学者がいて、D. J. モリスという人です。二本足で立ってお互いに正面から向きあう人間にとっては,猿がお尻を充血させて異性を誘うように、からだの前面にお尻をを模倣した乳房を見せて男性の欲望を誘い出すようになったといいます。こんなことも書いてあります。「乳房を『永遠に腫脹している性皮』と呼ぶ学者もいる。柔らかな丸みをもつ乳房は,乳児に安らぎを与える前に,前向きで性交する男性の目を魅了する役割を果たすとする」
ただ、お尻のコピーといえるような大きな乳房をもつ女性たちばかりではなかったようにも思います。そういう言いかたは単に古い時代の西洋人男性の憧れにすぎないのかもしれません。
「前向きでの性交」というのが、人類の最初からのものであるのかは、よくわかりません。出産のときの姿勢は、日本の近世までは這いつくばるような姿勢が多かったようです。性交の姿勢については、人はかなり古い時代からさまざまなバリエーションを楽しむようになったのかもしれません。正面を向き合うのは、そういうバリエーションの一つのようにも思えます。
とにかく、人だけがもつ豊かなお尻は、人間らしさの象徴のようにも思えてくるのです。
(参考 平凡社『世界大百科事典』)
